本ウェブサイトは GIMP 3.2 / 3.0 に対応していますが、GIMP 3.2 は正式リリース前のテスト版です。 正式リリース版を利用したい方はGIMP 3.0 をお使いください。

GIMP 3.2系から新たなレイヤである 調整レイヤ / ベクタレイヤ / リンクレイヤ が登場した

GIMP 3.2系から、

  1. 調整レイヤ
  2. ベクタレイヤ
  3. リンクレイヤ

という新たな3種類のレイヤが増えました。 それぞれのレイヤの概要は以下の通りです。

レイヤの種類 説明
調整レイヤ 下位レイヤにフィルターをかける
※非破壊編集フィルタ
ベクタレイヤ パスを画像化する
リンクレイヤ 外部ファイルの画像を参照する

この記事では、新たに増えたそれらのレイヤについて解説します。

  
上記の3種類のレイヤはGIMP 3.0系では利用できません。 GIMP 3.2系を利用している方のみ以下を読み進めてください。

調整レイヤ

"調整レイヤ" は、下位の全レイヤにフィルターをかけるためのレイヤです。 レイヤグループのレイヤモードを "パススルー" にすることで調整レイヤとして振る舞うようになります。

下位のレイヤのデータには何の変化もありません。 つまり、GIMP 3.0系から搭載された "非破壊編集フィルタ" の進化した使い方と言えるでしょうか。

では、調整レイヤを使ってみましょう。

1. 画像を開く
1. 画像を開く

上図のように画像を開きます。 この画像の色相を調整レイヤを使って調整してみましょう。 まずは、レイヤグループを追加します。

2. レイヤグループボタン
2. レイヤグループボタン

上図のようにレイヤーダイアログのレイヤ一覧の下にあるレイヤグループ追加ボタン(レイヤグループ追加ボタン)を押します。

3. 作成されたレイヤグループ
3. 作成されたレイヤグループ

上図のようにレイヤグループが作成されます。 なお、この段階では何の変哲もない普通のレイヤグループです。

続いて、レイヤグループのレイヤモードを "パススルー" に変更します。

4. レイヤモードをパススルーに変更する
4. レイヤモードをパススルーに変更する

上図のように追加したレイヤグループのレイヤモードを "パススルー" に変更します。 レイヤモードをパススルーに変更したことで、このレイヤは調整レイヤとして振る舞うようになりました

では、実際にフィルターをかけてみましょう。 今回は色相を調整します。

5. 色(C) -> 色相-彩度(S)...を実行
5. 色(C) -> 色相-彩度(S)...を実行

上図のようにプルダウンメニューの"色(C) -> 色相-彩度(S)..."を実行します。

6. 色相(H)を+180に
6. 色相(H)を+180に

上図のように『色相-彩度』ウィンドウが開きますので、色相(H)を +180 に変更し、[OK(O)]ボタンを押します。

7. 色相が調整される
7. 色相が調整される

上図のように色相が調整されます。 結果がわかりやすいよう、あえて意味のない酷い調整をかけています。

ではここでレイヤ一覧に注目してください。

8. 元の画像は変化していない
8. 元の画像は変化していない

上図のように元の画像は変化していないことがわかります。 このように画像を破壊することなくフィルタをかけるためのレイヤが "調整レイヤ" です。

レイヤマスクも使える

調整レイヤにはレイヤマスクを設定することもできます。 つまり、フィルタの効果を "特定の領域" にのみ適用することができるということです。

  
レイヤマスクについては、知っておきたい機能 > レイヤ関連 > レイヤマスクで解説しています。

下位の一部のレイヤにだけフィルタをかけるなら調整レイヤは不要

下位の一部のレイヤにだけフィルタをかけたい、という場面もあるかと思います。

その場合にはレイヤグループのレイヤモードは "標準" のままで、フィルタをかけたいレイヤを子レイヤとしてレイヤグループ内に格納すればいいだけです。

調整レイヤを利用する(レイヤモードを "パススルー" にする)必要はありません

ベクタレイヤ

ベクタレイヤはパスをキャンバス上で画像化するためのレイヤです。 GIMP 3.0系まではパスは位置情報であり、画像としてキャンバス上に表示することはできませんでした。

GIMP 3.2系からはベクタレイヤを利用することでパスを画像化することができます。 キャンバス上に表示されるのはもちろん、JPEGファイルなどに出力することもできます。

では、実際にベクタレイヤを利用してみましょう。

1. 新規画像を開く
1. 新規画像を開く

上図のように任意の大きさの新規画像を開きます。

では、パスで図形を作成しましょう。

2. パスツールを選択
2. パスツールを選択

上図のようにツールボックスからパスツールを選択します(またはキーボードのBを押します)。

どんな図形を作成しましょう。 台形でいいでしょうか。

3. パスで台形を作成する
3. パスで台形を作成する

上図のようにパスで台形を作成します。

ではここでパスダイアログのパス一覧を見てみましょう。

4. パス一覧
4. パス一覧

上図のようにパス一覧に "名前なし" という行があります。 これが台形のパスです。

ここまではありふれた作業で、特に変わった操作は行っていません。 ここからが本題のベクタレイヤに関わる作業です。

5. [Create Vector Layer from Path]ボタンを押す
5. [Create Vector Layer from Path]ボタンを押す

上図のようにツールオプションにある[Create Vector Layer from Path]ボタンを押します。

  
パス一覧の当該パスを右クリックし、表示されるサブメニューの "Path to Vector Layer" を実行してもいいです。
6. 台形がキャンバス上に画像として出現する
6. 台形がキャンバス上に画像として出現する

上図のように台形がキャンバス上に画像として出現します。

ではここでレイヤ一覧に注目してください。

7. レイヤが増えている
7. レイヤが増えている

上図のようにレイヤが増えています。 これがパスから作成されたベクタレイヤです。

ではここで、台形の内部領域と境界線の色を変えてみましょう。

  
内部領域のことを "フィル" といい、境界線のことを "ストローク" といいます。
8. フィルを赤色・ストロークを青色に変更する
8. フィルを赤色・ストロークを青色に変更する

上図のようにツールオプションの "Enable Fill" の "Solid Color" の色を赤色に、"Enable Stroke" の "Solid Color" の色を青色に変更します。

  
バージョンによっては "Enable Stroke" ではなく "ストロークを有効" と表記されます。
  
バージョンによっては "Enable Fill" ではなく "塗りつぶしを有効" と表記されます。
  
バージョンによっては "Solid Color" ではなく "描画色" と表記されます。
9. フィルとストロークが変更される
9. フィルとストロークが変更される

上図のようにフィルとストロークが変更されます。 このように、パスをベクタレイヤに変換した後で修正することもできます

では形状も変えてみましょう。 パスツールを使って台形から菱形に形を変えてください

10. 台形から菱形に変形させる
10. 台形から菱形に変形させる

上図のように台形から菱形に変形させます。 このように形状を変えるのも簡単です。

さあ、元のパスはどうなっているでしょうか。 パスダイアログに切り替えてみましょう

11. パスも連動して変形する
11. パスも連動して変形する

上図のようにパスも連動して変形していることがわかります。 このようにベクタレイヤと元のパスは連動します。

ベクタレイヤはパスを画像化するためのレイヤであり、パスと分離されているわけではありません。

  

リンクレイヤ

リンクレイヤは、外部ファイルの画像をGIMP内で参照するための仕組みです。 "参照" であるため、参照先の画像が修正されるとGIMP内でも変更が反映されます。

参照可能な画像の種類はXCFファイルだけでなく、SVGファイルやJPEGファイル・PNGファイルなど多様です。

では、リンクレイヤを使ってみましょう。 今回の例では、Inkscapeで作成したSVGファイルを参照してみます。

1. Inkscapeで画像を作成する
1. Inkscapeで画像を作成する

上図のようにInkscapeで画像を作成します。 上の例ではクマのイラストを作成しています。

画像を作成したら保存してください。 今回は bear.svg というファイル名で保存したものとします。


ここからはGIMPでの作業です。 Inkscapeで作成した bear.svg をGIMPで参照します。

2. 新規画像を開く
2. 新規画像を開く

上図のように任意の大きさの新規画像を開きます。

では、この新規画像に bear.svg を組み込みましょう。

3. ファイル(F) -> Open as Link Layer...を実行
3. ファイル(F) -> Open as Link Layer...を実行

上図のようにプルダウンメニューの"ファイル(F) -> Open as Link Layer..."を実行します。

  
バージョンによっては "Open as Link Layer..." ではなく "レイヤーリンクとして開く(E)..." と表記されます。
4. Open Image as Link Layerウィンドウ
4. Open Image as Link Layerウィンドウ

上図のようにOpen Image as Link Layerウィンドウが表示されますので、取り込む画像ファイル(bear.svg)を選択して、[開く(O)]ボタンを押します。

5. 画像が取り込まれる
5. 画像が取り込まれる

上図のように画像が取り込まれます。

ではここでレイヤ一覧に注目してみましょう。

6. リンクレイヤが追加されている
6. リンクレイヤが追加されている

上図のようにレイヤ一覧にリンクレイヤが追加されています。 このようにリンクレイヤでは、縮小画像の部分には矢印が描かれます。

リンクレイヤは拡大・縮小することもできます。 試しに拡大してみましょう。

7. レイヤー(L) -> レイヤーの拡大・縮小(S)...を実行
7. レイヤー(L) -> レイヤーの拡大・縮小(S)...を実行

上図のようにプルダウンメニューの"レイヤー(L) -> レイヤーの拡大・縮小(S)..."を実行します。

8. レイヤーの拡大・縮小ウィンドウ
8. レイヤーの拡大・縮小ウィンドウ

上図のようにレイヤーの拡大・縮小ウィンドウが表示されますので、幅(W)を 200% に変更し、[拡大・縮小(S)]ボタンを押します。

9. レイヤが拡大される
9. レイヤが拡大される

上図のようにレイヤが拡大されます。 このようにリンクレイヤは拡大・縮小することができます。

拡大したことでキャンバスからはみ出してしまいました。 移動させてキャンバス内に収めましょう。

10. 移動ツールを選択
10. 移動ツールを選択

上図のようにツールボックスから移動ツールを選択します(またはキーボードのMを押します)。

11. マウスの左ボタンでのドラッグでレイヤを移動
11. マウスの左ボタンでのドラッグでレイヤを移動

上図のようにマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)で下方向へドラッグします。 赤色の矢印はドラッグの動きを表しています。 なお、レイヤの透明部分をドラッグすると最下位の "背景" レイヤが移動してしまいます。 不透明部分をドラッグするようにしてください

  
ツールオプションの移動対象を "選択したレイヤーの移動" に切り替えればどこをドラッグしても大丈夫な状態になります。
  
"選択したレイヤーの移動"に切り替えなくても、キーボードのSHIFTキーを押しながらドラッグすれば同様の効果が得られます。
12. レイヤが移動する
12. レイヤが移動する

上図のようにレイヤが移動します。


ではここで、GIMPは開いたままの状態でInkscapeでの作業に移ります。 参照先のSVGファイルを変更しましょう。

13. 目の色を赤色に変更する
13. 目の色を赤色に変更する

上図のようにInkscapeで参照先の画像ファイル(bear.svg)を開き、目の色を赤色に変更します。 変更したら忘れずに保存してください


SVGファイルを保存したらGIMPの画面に注目してください。

14. 目の色が赤色に変化している
14. 目の色が赤色に変化している

上図のように目の色が赤色に変化しています。 このように参照先の画像が変更されるとGIMP側にも即座に反映されます。

GIMP側で画像を開き直す必要はありません

Inkscapeの使い方について

Inkscapeの特徴・使い方については、以下を参照ください。

『Inkscape入門』へ
  

まとめ

GIMP 3.2系から、

  1. 調整レイヤ
  2. ベクタレイヤ
  3. リンクレイヤ

という3種類のレイヤが新たに仲間入りしました。

レイヤの種類 説明
調整レイヤ 下位レイヤにフィルターをかける
※非破壊編集フィルタ
ベクタレイヤ パスを画像化する
リンクレイヤ 外部ファイルの画像を参照する