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写真を水彩画風に加工する

  

フィルタとレイヤモードで写真を水彩画風に変える

この記事では、写真を簡単に水彩画風に加工する手順を説明します。

 

なお、加工にはフィルタとレイヤモードを活用します。 フィルタはGIMPに標準で含まれているものだけを利用します

  
レイヤモードの詳細については、知っておきたい機能 > レイヤ関連 > レイヤモードを参照ください。

作業の概要

まず、画像のレイヤを4枚に複製します。 次に、各レイヤを以下のように加工します。

対象レイヤ 役割 加工内容 レイヤモード 不透明度
最上層 筆で塗られたような印象を加える キュービズム

ガウスぼかし
標準 10%
上から2層め 筆で塗られたような印象を加える ワープ 標準 50%
上から3層め 輪郭を強調する ガウスぼかし

輪郭

脱色

階調反転
乗算 50%
最下層 土台となる画像 ガウスぼかし 標準 100%

上記のようにフィルタや色調補正の機能で加工し、レイヤモードと不透明度で様々な合成を行うことで水彩画風の写真に加工します。

  

水彩画風への加工の手順

では、画像を加工しましょう。

1. 画像を開く
1. 画像を開く

上図のように画像を開きます。 レトロな建物の写真です。

続いて、レイヤを複製します。

2. レイヤ複製ボタン
2. レイヤ複製ボタン

上図のようにレイヤーダイアログのレイヤ一覧の下にあるレイヤ複製ボタン(レイヤ複製ボタン)を押します。

3. 複製されたレイヤ
3. 複製されたレイヤ

上図のようにレイヤが複製され、元画像のレイヤの上位に追加されます。

では、同様の手順で、全部で4枚のレイヤになるように複製してください

4. 4枚に複製されたレイヤ
4. 4枚に複製されたレイヤ

上図のようにレイヤが4枚になっていることを確認します。

続いてレイヤ名称を変更します。 人間がわかりやすいような名前をつけます。

対象レイヤ レイヤ名称
最上層 キュービズム
上から2層め ワープ
上から3層め 輪郭強調
最下層 土台

上記のレイヤ名称に変更します。

5. レイヤ名称を変更
5. レイヤ名称を変更

上図のようにレイヤ名称を変更します。

では、それぞれのレイヤの画像を加工していきます。 なお、加工は最下層から上に向かって進めていきます


では、"土台"レイヤから加工しましょう。 まず、"土台"レイヤ以外を非表示にします。

6. レイヤ表示ボタン
6. レイヤ表示ボタン

上図のようにレイヤーダイアログのレイヤ一覧の、"土台"レイヤの行のレイヤ表示ボタン(レイヤ表示ボタン)を、キーボードのSHIFTキーを押しながらマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。

7. 土台レイヤ以外が非表示になる
7. 土台レイヤ以外が非表示になる

上図のように"土台"レイヤ以外が非表示になります。

  
キーボードのSHIFTキーを押しながらレイヤ表示ボタン(レイヤ表示ボタン)を押すことで、他のレイヤをまとめてオン/オフすることができます。

では、"土台"レイヤを加工します。

8. 土台レイヤを選択
8. 土台レイヤを選択

上図のように"土台"レイヤを選択します。

では、ガウスぼかしフィルタでぼかします。

9. フィルター(R) -> ぼかし(B) -> ガウスぼかし(G)...を実行
9. フィルター(R) -> ぼかし(B) -> ガウスぼかし(G)...を実行

上図のようにプルダウンメニューの"フィルター(R) -> ぼかし(B) -> ガウスぼかし(G)..."を実行します。

10. ガウスぼかしウィンドウ
10. ガウスぼかしウィンドウ

上図のようにガウスぼかしウィンドウが表示されますので、Size XとSize Yを 2 に変更します。 Size XとSize Yを 2 に変更したら、[OK(O)]ボタンを押します。

  
今回の例は600 x 450の画像を想定しています。 画像の大きさや解像度に応じてSize XとSize Yを調整してください。
11. ぼけたレイヤ
11. ぼけたレイヤ

上図のように『ぼかし』がかかります。 これで"土台"レイヤの加工は終了しました。

  
"土台"レイヤは、すでにレイヤモードが標準モード、不透明度が100%になっています。 そのため、これ以上の操作は必要ありません。

次に、"輪郭強調"レイヤを加工します。

12. 輪郭強調レイヤを表示状態で選択
12. 輪郭強調レイヤを表示状態で選択

上図のように"輪郭強調"レイヤを選択し、さらに表示状態に切り替えます

  
レイヤを表示状態に切り替えるのを忘れないでください。

このレイヤには全部で4つの加工を施します。 まずは、ガウスぼかしフィルタでぼかします。

13. フィルター(R) -> "ガウスぼかし" の再表示(E)を実行
13. フィルター(R) -> "ガウスぼかし" の再表示(E)を実行

上図のようにプルダウンメニューの"フィルター(R) -> "ガウスぼかし" の再表示(E)"を実行します(またはキーボードのCTRL + SHIFT + Fを押します)。

  
キーボードのCTRL + SHIFT + Fで、前回実行したフィルタのウィンドウを再表示することができます。 設定値を変えて前回と同じフィルタを実行する場合に便利です。
  
今回は使用しませんが、キーボードのCTRL + Fで、前回実行したフィルタを再実行することができます。 この場合、設定ウィンドウは開かず、前回の設定で再実行されます。
14. ガウスぼかしウィンドウ
14. ガウスぼかしウィンドウ

上図のようにガウスぼかしウィンドウが表示されますので、Size XとSize Yを 1 に変更します。 Size XとSize Yを 1 に変更したら、[OK(O)]ボタンを押します。

  
今回の例は600 x 450の画像を想定しています。 画像の大きさや解像度に応じてSize XとSize Yを調整してください。
15. ぼけたレイヤ
15. ぼけたレイヤ

上図のように『ぼかし』がかかります。

続いて、輪郭フィルタで輪郭を抽出します。

16. フィルター(R) -> 輪郭抽出(T) -> 輪郭(E)...を実行
16. フィルター(R) -> 輪郭抽出(T) -> 輪郭(E)...を実行

上図のようにプルダウンメニューの"フィルター(R) -> 輪郭抽出(T) -> 輪郭(E)..."を実行します。

17. 輪郭ウィンドウ
17. 輪郭ウィンドウ

上図のように輪郭ウィンドウが表示されますので、初期設定値のままで、[OK(O)]ボタンを押します

  
今回の例は600 x 450の画像を想定しています。 画像の大きさや解像度に応じて量(M)を調整してください。
18. 輪郭が抽出されたレイヤ
18. 輪郭が抽出されたレイヤ

上図のように輪郭が抽出されます。 黒色の部分は輪郭と認識されなかった部分で、黒色以外の部分が輪郭として抽出された部分です。

  
輪郭抽出系のフィルタは、色の境目(色が急激に変化している部分)を探し出します。 事前にぼかしをかけたのは、細かな色の境目が輪郭としてい抽出されないようにするためです。

続いて、脱色を行います。

19. 色(C) -> 脱色(E) -> 脱色(D)...を実行
19. 色(C) -> 脱色(E) -> 脱色(D)...を実行

上図のようにプルダウンメニューの"色(C) -> 脱色(E) -> 脱色(D)..."を実行します。

20. Luminanceを選択
20. Luminanceを選択

上図のように脱色ウィンドウが開きますので、モードに "Luminance" を選択し、[OK(O)]ボタンを押します。

21. 脱色後のレイヤ
21. 脱色後のレイヤ

上図のように脱色されます。

  
"輪郭強調"レイヤは、輪郭を強調する役目のレイヤです。 よって、色味を持つ必要はなくグレースケールの方が都合がいいため脱色しました。

続いて、階調を反転します。

22. 色(C) -> 階調の反転(V)を実行
22. 色(C) -> 階調の反転(V)を実行

上図のようにプルダウンメニューの"色(C) -> 階調の反転(V)"を実行します。

23. 階調反転後のレイヤ
23. 階調反転後のレイヤ

上図のように階調が反転されます。

  
"輪郭強調"レイヤは、最終的にレイヤモードを乗算モードに設定します。 乗算モードでは、上位レイヤの白色の部分は変化がなく、黒色の部分が暗くなります。 つまり、輪郭を強調する役目を果たすためには、輪郭が黒色でなくてはならないのです。 輪郭を黒くするため、ここでは階調反転しました。

"輪郭強調"レイヤの最後の作業として、レイヤモードと不透明度の設定を行います。 レイヤモードは乗算モード、不透明度は 50% にします。

24. レイヤモードと不透明度を設定
24. レイヤモードと不透明度を設定

上図のようにレイヤモードを乗算モードに、不透明度を 50% に設定します。

25. 輪郭が強調された加工中の写真
25. 輪郭が強調された加工中の写真

上図のように輪郭が強調されます。 これで"輪郭強調"レイヤの加工は終了です。


次に、"ワープ"レイヤを加工します。

26. ワープレイヤを表示状態で選択
26. ワープレイヤを表示状態で選択

上図のように"ワープ"レイヤを選択し、さらに表示状態に切り替えます

  
レイヤを表示状態に切り替えるのを忘れないでください。

このレイヤは、ワープフィルタで加工します。 ワープフィルタは、選択中のレイヤのピクセルをずらすフィルタです。

27. フィルター(R) -> カラーマッピング(M) -> ワープ(W)...を実行
27. フィルター(R) -> カラーマッピング(M) -> ワープ(W)...を実行

上図のようにプルダウンメニューの"フィルター(R) -> カラーマッピング(M) -> ワープ(W)..."を実行します。

28. ワープウィンドウ
28. ワープウィンドウ

上図のようにワープウィンドウが表示されますので、初期設定値のままで、[OK]ボタンを押します

29. ワープ処理されたレイヤ
29. ワープ処理されたレイヤ

上図のようにワープ処理されます。

  
ワープフィルタは、特定のレイヤの画像の濃淡を元にピクセルをずらします。 初期設定では、最上層レイヤ、つまり、今回は"キュービズム"レイヤの濃淡を元にずらされます。

"ワープ"レイヤの最後の作業として、不透明度を 50% にします。

30. 不透明度を設定
30. 不透明度を設定

上図のように不透明度を 50% に設定します。

31. 筆塗りのような印象が付加された加工中の写真
31. 筆塗りのような印象が付加された加工中の写真

上図のように筆塗りのような印象が付加されます。 これで"ワープ"レイヤの加工は終了です。


最後に、"キュービズム"レイヤを加工します。

32. キュービズムレイヤを表示状態で選択
32. キュービズムレイヤを表示状態で選択

上図のように"キュービズム"レイヤを選択し、さらに表示状態に切り替えます

  
レイヤを表示状態に切り替えるのを忘れないでください。

このレイヤは、キュービズムフィルタで加工します。 キュービズムフィルタは、選択中のレイヤをガラスタイル風に加工するフィルタです。

33. フィルター(R) -> 芸術的効果(A) -> キュービズム(C)...を実行
33. フィルター(R) -> 芸術的効果(A) -> キュービズム(C)...を実行

上図のようにプルダウンメニューの"フィルター(R) -> 芸術的効果(A) -> キュービズム(C)..."を実行します。

34. キュービズムウィンドウ
34. キュービズムウィンドウ

上図のようにキュービズムウィンドウが表示されますので、初期設定値のままで、[OK(O)]ボタンを押します

  
今回の例は600 x 450の画像を想定しています。 画像の大きさや解像度に応じてタイルサイズ(T)を調整してください。
35. キュービズム処理されたレイヤ
35. キュービズム処理されたレイヤ

上図のようにキュービズム処理されます。

"キュービズム"レイヤの最後の作業として、不透明度を 10% にします。

36. 不透明度を設定
36. 不透明度を設定

上図のように不透明度を 10% に設定します。

37. 筆塗りのような印象が付加された加工中の写真
37. 筆塗りのような印象が付加された加工中の写真

上図のように筆塗りのような印象が付加されます。 これで"キュービズム"レイヤの加工は終了です。


これで、全てのレイヤの作業が終了しました。 最後に、加工前の写真と加工後の写真を上下に並べて掲載します。

38. 加工前と加工後の写真
38. 加工前と加工後の写真

上図のように水彩画風に加工することができました。

  

まとめ

フィルタやレイヤモードを活用することで、ペイント作業をすることなく写真を色々な味付けで加工することができます。

 
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