本ウェブサイトは GIMP 3.2 / 3.0 に対応していますが、GIMP 3.2 は正式リリース前のテスト版です。 正式リリース版を利用したい方はGIMP 3.0 をお使いください。

非破壊編集フィルタについて

GIMP 3.0系から『非破壊編集フィルタ』の仕組みが導入されました。 非破壊編集フィルタとは、各種画像処理を行っても処理前の画像データを失わない仕組みのことです

例えば、明るさを補正し、その後ノイズを除去したとします。 GIMP 2.10系までは、明るさの補正とノイズを除去した結果の画像データのみが記録されていました。

そのため、明るさの補正が不十分だった場合には CTRL - Z で明るさ補正前まで戻ってやり直す必要がありました。 明るさの補正をやり直したら、さらにノイズの除去も再度実行しなければならなかったのです

  
補正後に画像を保存してさらに閉じてしまっていたら、やり直すことすらできませんでした。

一方、GIMP 3.0系では、補正前の画像データが残されています。 また、明るさをどのように補正したか・ノイズの除去はどうのような設定で行ったか、ということも記録されています。

そのため、明るさの補正が不十分だった場合でも、明るさの補正の設定値を後から調整することができます。 設定値を調整すると補正前の画像データに対して自動的に明るさの補正が行われ、さらにノイズ除去も自動的に実行されます。

つまり、何段階か前に実施した画像処理をいつでも事後調整できるということです。 しかも、それ以降に行った画像処理の効果は適用されたままに、です。

  

非破壊編集フィルタの便利さを実感してみよう

では、非破壊編集フィルタがどれだけ便利かを実感してみましょう。 ここでは、文字への影落としを例に非破壊編集フィルタの実例を紹介します。

1. "GIMP"と入力
1. "GIMP"と入力

上図のように文字を入力します。 ここではフォントは "Arial Bold" でサイズは 128 で入力しています

では、入力した文字に影を落としましょう。

2. レイヤの選択
2. レイヤの選択

上図のようにレイヤーダイアログのレイヤ一覧で文字レイヤを選択します。

3. フィルター(R) -> 照明と投影(L) -> ドロップシャドウ(D)...を実行
3. フィルター(R) -> 照明と投影(L) -> ドロップシャドウ(D)...を実行

上図のようにプルダウンメニューの"フィルター(R) -> 照明と投影(L) -> ドロップシャドウ(D)..."を実行します。

4. ドロップシャドウウィンドウ
4. ドロップシャドウウィンドウ

上図のようにドロップシャドウウィンドウが表示されますので Opacityを 1.0 に変更し、[OK(O)]ボタンを押します。

  
Opacity を 1.0 にしたのは影を目立たせて見やすくするためです。
5. 影が落とされる
5. 影が落とされる

上図のように文字の影が落とされます。 ではここで、レイヤ一覧に注目してみましょうGIMP 2.10系までとは異なる振る舞いをしている箇所があります。

6. 文字レイヤのまま
6. 文字レイヤのまま

上図のようにレイヤは文字レイヤのままです。 画像レイヤ(ノーマルレイヤとも呼ばれる)には変化していません

ではここで、文字 "GIMP" の再編集をしてみましょう。

7. Edit Text on Canvasを実行
7. Edit Text on Canvasを実行

上図のようにレイヤーダイアログにあるレイヤ一覧の(1)の "GIMP" という行を右クリックします。 レイヤ用サブメニューが表示されますので、(2)の"Edit Text on Canvas"を実行します

  
バージョンによっては "Edit Text on Canvas" ではなく "キャンバスのテキストの編集(X)" と表記されます。

文字を編集可能な状態になりますので "GIMP" から "Gimp" に変更してみましょう

8. 落とされた影も"Gimp"に変化している
8. 落とされた影も"Gimp"に変化している

上図のように文字を "GIMP" から "Gimp" に変更します。 落とされた影も "Gimp" に変化しているのがわかります。

では次に、影の色を事後調整赤色に変更してみましょう。

9. ドロップシャドウフィルタの編集
9. ドロップシャドウフィルタの編集

上図のようにレイヤ一覧の "fx" を(1)のようにマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックし、さらに(2)のドロップシャドウを選択し、最後に(3)の[フィルタの編集]ボタンをクリックします。

10. ドロップシャドウウィンドウが再表示される
10. ドロップシャドウウィンドウが再表示される

上図のようにドロップシャドウウィンドウが再表示されます。 先ほど実行した設定値が残されていますので Colorを赤色に変更し、[OK(O)]ボタンを押します。

11. 影の色が赤色に変化する
11. 影の色が赤色に変化する

上図のように影の色が赤色に変化します。 このように、過去に適用したフィルタをいつでも事後調整することができます


では最後に、非破壊編集フィルタの『マージダウン』を行いましょう。 マージダウンとは、適用中の非破壊編集フィルタの結果を画像データに反映させることを指します。

簡単に言えば、GIMP 2.10系までのようにフィルターを適用した結果のみを残す、ということです。

なお、文字レイヤの場合は最初に画像レイヤ(ノーマルレイヤとも呼ばれる)に変換する必要があります。

  
GIMP 3.0系では文字レイヤのままでもマージダウンすることができます。 マージダウンされたレイヤは画像レイヤ(ノーマルレイヤとも呼ばれる)に変化します。
12. 文字レイヤから画像レイヤへの変換
12. 文字レイヤから画像レイヤへの変換

上図のようにレイヤーダイアログにあるレイヤ一覧の(1)の "GIMP" という行を右クリックします。 レイヤ用サブメニューが表示されますので、(2)の"Rasterize"を実行します

  
バージョンによっては "Rasterize" ではなく "ラスタライズ(R)" と表記されます。
  
GIMP 3.0系では "文字情報の破棄(D)" を実行します。
13. 画像レイヤへ変換される
13. 画像レイヤへ変換される

上図のようにレイヤが文字レイヤから画像レイヤに変換されます。 つまり、文字の情報は失われました

続いて、非破壊編集フィルタの『マージダウン』を行います。

14. 非破壊編集フィルタのマージダウン
14. 非破壊編集フィルタのマージダウン

上図のようにレイヤ一覧の "fx" を(1)のようにマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックし、さらに(2)の[マージダウン]ボタンをクリックします。

15. マージダウン後のレイヤ一覧
15. マージダウン後のレイヤ一覧

上図のようにレイヤ一覧の "fx" という表示が消えました。 非破壊編集フィルタがマージダウンされ、画像データが画像処理後のデータで置き換えられたことを表しています

  

まとめ

GIMP 3.0系からは『非破壊編集フィルタ』の仕組みが導入されています。 非破壊編集フィルタの仕組みにより、過去に実施した画像処理をいつでも事後調整することができます。

マージダウンすることで、GIMP 2.10系までと同じようにフィルターを適用した結果のみを残す、ということもできます。