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カラープロファイルで色を正しく扱う

カラーマネジメント(色管理)について

この記事では、カラープロファイルを使って色を正しく管理する方法を説明します。 なお、カラープロファイルとは、デジタルカメラやスキャナ、モニタなどが持っている色の再現範囲の情報のことです。

簡単に言えば、デジタルカメラ、モニタ、プリンタといった機材の間で色がズレないようにするための補正の材料となる情報です

このカラープロファイルがあることで、

  1. デジタルカメラで撮影した写真を画面に表示したら肉眼で見えた色と違った
  2. 画面の表示と印刷で色が違ってしまった

ということを可能な限り回避することができます。

カラープロファイルはメーカが作る

カラープロファイルは、デジタルカメラやスキャナ、プリンタなどの機材のメーカが作成するものです。 あなたが作成する必要はありません。 メーカが提供しているものを入手して利用するだけです。

ただし、カラープロファイルは、どんな製品にも用意されているわけではありません。 高価な機材やプロ向けの機材ではほとんど用意されていますが、低価格の製品には用意されていないこともあります。

  
正確には、自分でカラープロファイルを作成することもできます。 カラープロファイルを作成する専用のソフトウェアがあり、テストチャートをデジタルカメラで撮影した画像やテストパタンをプリンタで印刷した結果の画像などから色の特性を判断し、自動的にカラープロファイルを出力してくれます。

画像中に埋め込まれたカラープロファイル

カラープロファイルに対応したデジタルカメラやスキャナであれば、出力する画像にカラープロファイルが埋め込まれます。 そのため、画像を開くだけで、GIMPによって自動的にカラープロファイルが読み込まれます

一方、モニタやプリンタは出力のための機材です。 そのため、GIMPがそれらの機材のカラープロファイルを自動的に入手することはできません。 あなたが最初に一度だけカラープロファイルを登録する必要があります

カラープロファイルを信用しすぎない

デジタル画像処理を行うなら、今や、カラーマネジメントは必須といえます。 ただし、カラープロファイルを使えば全てが解決するわけではありません

例えば、モニタは経年劣化により色がズレるようになります。 定期的にモニタのキャリブレーションを行って補正すればいいですが、キャリブレーション用の機材なんて持っていない人の方が多いでしょう。

  
Windows 7から搭載された『色の調整』の機能を使えば機材がなくてもある程度調整することができます。 また、Calibrizeという無償で使えるモニタキャリブレーション用ソフトウェアもあります。

ICCプロファイルとICMプロファイル

カラープロファイルには、『ICCプロファイル』と『ICMプロファイル』があります。 ICCプロファイルは、ICC(International Color Consortium)という団体によって標準化された規格で、ICMプロファイルはMicrosoftが開発した規格です。

ファイルの拡張子はそれぞれ、*.icc *.icm です。

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GIMPでカラープロファイルを利用してみよう

では、カラープロファイルを使ってみましょう。 いくつかの準備作業さえ終わってしまえば、日々の作業ではほとんど手間はかかりません。

まずは準備作業について説明し、続いて日々の利用方法を解説します。

準備作業

ここでは、カラープロファイルの入手と登録を行います。 最初に必要なカラープロファイルを全て入手し、最後にまとめて登録します

  
入手したカラープロファイルは、まずはシステムに登録します。 『システムに登録する』とは、WindowsやLinux、macOSが管理しているカラーマネジメントシステム内に登録するという意味です。
  
システムに登録し終えたら、続いてGIMPにもカラープロファイルを登録します。

では、カラープロファイルの入手を行いましょう。 まずは、RGBカラープロファイルを入手します。 RGBカラープロファイルは、GIMP内部でRGBデータを扱う際に使用されるカラープロファイルです。 知っておきたい機能 > 全般 > カラーモード(色の形式)で説明したように、GIMPのカラーモードには、RGB形式、グレースケール形式、インデックス形式があります。

そのうち、RGB形式とインデックス形式では色はRGBで表現されますので、このRGBカラープロファイルが適用されます。 よって、RGBカラープロファイルは、GIMP内部での基準となるカラープロファイルであるともいえます

また、RGBカラープロファイルは、GIMPが出力した画像に埋め込まれるカラープロファイルにもなります。 XCFファイルはもちろん、TIFFファイルやJPEGファイルなどへ出力した場合にもカラープロファイルは埋め込まれます

なお、RGBカラープロファイルにはsRGBやAdobe RGBなどの規格がありますが、ここではsRGBのカラープロファイルのみを扱います。

  
Adobe RGBはsRGBよりも広い色域を持っています。 ただし、安価なモニタではAdobe RGBには対応していません。

では、sRGBのカラープロファイルを入手しましょう。

カラープロファイル 用途 ダウンロード
sRGB GIMP内部での基準 ダウンロード

※sRGB v2をダウンロードしてください
※sRGB2014.icc です

次に、CMYKカラープロファイルを入手します。 CMYKカラープロファイルは、CMYK形式を扱う機材、つまり、プリンタや印刷所への入稿向けのカラープロファイルです。

プリンタのカラープロファイルは、システム内にすでに登録済みかもしれません。 システム内に登録済みであれば、この作業は飛ばすことができます。 システム内になければメーカのサイト等から入手します。

  
プリンタのドライバを導入した時点でカラープロファイルが自動的に登録されることがあります。

まずはシステム内を探してみましょう。 以下の手順で、カラープロファイルがシステム内に登録されているかどうかを確認することができます。

OSの種類 確認手順
Windows コントロールパネル → 色の管理

『色の管理』画面が開く

『すべてのプロファイル』タブに切り替える

一覧画面からカラープロファイルを探す
※メーカ名と製品名で探す
Linux系(GNOME) GNOME端末を開く

Color Profile Viewerを起動する
※GNOME端末からgcm-viewerと打ち込む
※gnome-color-managerパッケージに含まれる

Color Profile Viewerが表示される

一覧画面からカラープロファイルを探す
※メーカ名と製品名で探す
macOS アプリケーション → ユーティリティ → ColorSync ユーティリティ

Windowsの場合は、以下のように『色の管理』画面から確認します。

1. Windowsの『色の管理』画面
1. Windowsの『色の管理』画面

上図のように『すべてのプロファイル』タブにある一覧から探します。

Linux系OSの場合は以下になります。

2. LinuxのColor Profile Viewer
2. LinuxのColor Profile Viewer

上図のようにColor Profile Viewerの一覧から探します。

該当するプリンタのカラープロファイルがシステム内に見つかった場合は、特に作業の必要はありません。 システム内には見つからなかった場合は、メーカのサイトからカラープロファイルをダウンロードする必要があります。 メーカのサイトで探すか、検索サイトで、

  1. キャノン カラープロファイル
  2. MP990 カラープロファイル

のようなキーワードで検索します。

なお、プリンタのカラープロファイルは、印刷する用紙や印刷品質ごとに用意されている製品もあります。 印刷品質とは、印刷時に選べる『速く印刷』や『キレイに印刷』などの選択肢のことです。

該当のプリンタに用紙や印刷品質によってカラープロファイルが用意されている場合は、利用する用紙と印刷品質の組み合わせのカラープロファイルを全て入手してください。

さらに、Japan Colorのカラープロファイルを入手します。 これらは印刷所へ入稿する場合にのみ必要です。 入稿しないなら必要ありません

  
Japan Colorとは、一般社団法人日本印刷学会と一般社団法人日本印刷産業機械工業会が制定した認証制度の名称です。 Japan Colorのカラープロファイルは、日本国内の印刷所での標準的なインクで印刷した結果を元に作られています。
カラープロファイル 用途 ダウンロード
Japan Color 2011 Coated 日本の標準的なインクでのコート紙への印刷 ダウンロード

最後に、モニタカラープロファイルを入手します。 プリンタと同じように、まずはシステム内で探し、なければメーカのサイト等から入手してください。

以上で、必要なカラープロファイルは全て入手済みとなったはずです。 sRGB v2、プリンタ、Japan Color、モニタのカラープロファイルを入手したことを確認したら次へ進みましょう

では、入手したカラープロファイルをシステムに登録する作業に入りましょう。 まずは、ダウンロードしたファイルを展開してください。

  
展開されたカラープロファイルの拡張子は *.icc または *.icm です。

続いて、展開された全てのカラープロファイルを登録しましょう。 Windowsの場合は、以下の手順で登録します。

3. プロファイルのインストールを実行
3. プロファイルのインストールを実行

上図のようにカラープロファイルのファイルを、マウスの右ボタン(マウスの右ボタン)でクリックします。 コンテキストメニューが表示されるので "プロファイルのインストール" を選択します。

Linux系OSの場合は以下の手順で登録します。

4. ICCプロファイルのインストーラで開く(O)を実行
4. ICCプロファイルのインストーラで開く(O)を実行

上図のようにカラープロファイルのファイルを、マウスの右ボタン(マウスの右ボタン)でクリックします。 コンテキストメニューが表示されるので "ICCプロファイルのインストーラで開く(O)" を選択し、さらに表示される画面で[インポート]ボタンを押します

以上の作業で、入手したカラープロファイルのシステムへの登録が終わりました。 念のため、カラープロファイルがシステムに登録されたことを確認しましょう。 再度、以下のツールを使って確認してください。

OSの種類 確認ツール
Windows 色の管理
Linux系(GNOME) Color Profile Viewer
macOS ColorSync ユーティリティ

ダウンロードおよび展開したカラープロファイルはもう不要です。 ここで削除してください

続いて、システムに登録したカラープロファイルを、さらにGIMPにも登録する作業に入りましょう。 GIMPが起動していなければ起動し、GIMPの設定ウィンドウを開きます。

5. 編集(E) -> 設定(P)を実行
5. 編集(E) -> 設定(P)を実行

上図のようにプルダウンメニューの"編集(E) -> 設定(P)"を実行します。

6. GIMPの設定
6. GIMPの設定

上図のようにGIMPの設定ウィンドウが開きます。

ウィンドウの左にある一覧から『カラーマネジメント』をクリックします。

7. カラーマネジメント
7. カラーマネジメント

上図のようにカラーマネジメント関連の項目に切り替わります。

では、続けて、カラープロファイルを登録します。 まずは、RGBカラープロファイルからです。 sRGB v2のカラープロファイルを登録します。

8. RGBプロファイル(R)
8. RGBプロファイル(R)

上図のように"RGBプロファイル(R)"をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。

9. カラープロファイルをディスクから選択...
9. カラープロファイルをディスクから選択...

上図のように選択リストが開きますので、"カラープロファイルをディスクから選択..."を選択します。

10. 優先 RGB プロファイルの選択
10. 優先 RGB プロファイルの選択

上図のように優先 RGB プロファイルの選択ウィンドウが表示されますので、システム内に登録されたsRGB v2のカラープロファイルである "sRGB2014.icc" を選択し、[Open]ボタンを押します。

なお、システムに登録されたカラープロファイルの置き場所はOSの種類によって異なりますので以下を参照してください

OSの種類 カラープロファイルの場所
Windows C:\Windows\System32\spool\drivers\color
または
C:\Windows¥System32¥color
Linux系(GNOME) /usr/share/color/icc
または
/var/lib/color/icc
macOS システムフォルダ/ColorSyncプロファイル
または
ライブラリ/ColorSync/Profiles
11. RGBカラープロファイルが登録される
11. RGBカラープロファイルが登録される

上図のようにRGBカラープロファイルが登録されます。

続いて、CMYKカラープロファイルを登録します。 プリンタ用のカラープロファイルおよび、Japan Colorのカラープロファイルを登録しましょう。

12. CMYKプロファイル(C)
12. CMYKプロファイル(C)

上図のように"CMYKプロファイル(C)"に、プリンタ用のカラープロファイルおよび、Japan Colorのカラープロファイルを登録します。

プリンタ用のカラープロファイルおよび、Japan Colorのカラープロファイルの数だけ同じ作業を繰り返してください。

  
全てのプリンタ用のカラープロファイルおよびJapan Colorのカラープロファイルの登録を忘れないで下さい。

次に、登録したCMYKカラープロファイルの中から、普段利用してる印刷方法に合ったものを既定として選択します。

13. 常用のCMYKカラープロファイルを選択
13. 常用のCMYKカラープロファイルを選択

上図のように普段利用している印刷方法向けのCMYKカラープロファイルを選択します。

  
上図では "Japan Color 2011 Coated" のカラープロファイルを選択しています。

最後に、モニタ用のカラープロファイル登録します。

14. モニタープロファイル(M)
14. モニタープロファイル(M)

上図のように"モニタープロファイル(M)"に、モニタ用のカラープロファイルを登録します。

これでカラープロファイルの登録は終わりました。 [OK(O)]ボタンを押してGIMPの設定ウィンドウを閉じてください。

日々の利用

カラープロファイルを利用するための準備作業が終わりました。 ここからは日々の利用手順の説明に入るわけですが、その前にちょっと整理しておきましょう。 準備作業で実施した内容についてまとめておきます

準備作業では、まず、RGBカラープロファイルを登録しました。 RGBカラープロファイルにはsRGB v2のカラープロファイルだけが登録されており、それが既定になっています。

次に、CMYKカラープロファイルとして、プリンタ用のカラープロファイルとJapan Colorのカラープロファイルを登録しました。 さらに、普段利用している印刷方法向けのカラープロファイルを、既定のCMYKカラープロファイルとして設定しました。

最後に、モニタ用のカラープロファイルを登録しました。 モニタ用のカラープロファイルはその1つだけが登録されており、それが既定になっています。

以上が準備作業で実施した内容です。 では続いて、これからの日々の利用でカラープロファイルをどう活用すべきかを説明します

では、ここで画像を開くことにします。 画像を開いた状態でなければ説明のしようがありません。 どんな画像でもいいのでカラープロファイルが埋め込まれいてる写真を開いてみましょう

  
カラープロファイルが埋め込まれいてる画像をお持ちでない方は、本ウェブサイトで用意しているwithcolorprofile.zipをダウンロードしてください。
1. RGB作業用スペースに変換しますか?
1. RGB作業用スペースに変換しますか?

上図のようにカラープロファイルが埋め込まれている画像を開こうとすると、『RGB作業用スペースに変換しますか?』というメッセージが表示されます。

なお、『RGB作業用スペース』というのは、GIMPの設定ウィンドウの "RGBプロファイル(R)" で指定したカラープロファイルの色空間のことではありません

GIMP 2.8系までは、『RGB作業用スペース』というのは、GIMPの設定ウィンドウの "RGBプロファイル(R)" で指定したカラープロファイルの色空間のことでした。 今回の例では、ファイル "sRGB2014.icc" で登録したsRGB v2カラープロファイルの色空間のことだったのです。

しかし、GIMP 2.10系からは、『RGB作業用スペース』というのは、GIMPに内蔵されている『GIMP built-in sRGB』というカラープロファイルのことを指します。

  
GIMP built-in sRGBカラープロファイルを使うと、出力する画像にはカラープロファイルは埋め込まれません。

[変換(O)]ボタンを押すと、GIMP built-in sRGBカラープロファイルに変換されます。 つまり、GIMP built-in sRGBカラープロファイルに合わせてデータ(RGB値)が補正されます。

[維持(K)]ボタンを押すと変換されずに画像が読み込まれます。 どちらがよいかですが、通常は[変換(O)]ボタンを押すべきです。

ただし、ここでどちらを選択してもGIMPは正しく画像を表示することができます。 変換しなかったとしても、画像ファイルに埋め込まれていたカラープロファイルがあるので、それを適用してモニタに出力してくれるのです。

変換しても変換しなくてもきちんと表示されますが、本ウェブサイトでは変換することを推奨しています。 理由は、他のソフトウェアで利用する時を考えてのことです。

全ての画像関係のソフトウェアが、カラープロファイルに対応しているとは限りません。 カラープロファイルに対応していないソフトウェアでは、カラープロファイルは無視され何の色の変換も行われません

PC関連の機材の多くはsRGBを基準にしています。 つまり、カラープロファイルがGIMP built-in sRGBであれば、何も変換もされずに表示されたとしても色ずれする可能性が低くなるというわけです

では、説明を続けます。

  
ここでは[変換(O)]ボタンを押したものとしています。
2. 画像を開く
2. 画像を開く

上図のように画像が開かれます。

ここで重要なことは、この画像はモニタ用のカラープロファイルを元に色が調整されて表示されているということです。 モニタに合わせたカラーマネジメントがすでに動作しているのです。

  
画像を開いた時にカラープロファイル変換したことでカラーマネジメントが機能しているわけではありません。 GIMPの設定ウィンドウの "モニタープロファイル(M)" でカラープロファイルを指定したからです。

なお、モニタに合わせた色の調整はあくまでも表示上の処理です。 画像のデータそのものは、読み込み時にGIMP built-in sRGBに変換された状態から変化していません。

では、この画像のカラーマネジメントがどうなっているかを見てみましょう。

3. 表示(V) -> カラーマネジメント(C)にマウスカーソルを乗せる
3. 表示(V) -> カラーマネジメント(C)にマウスカーソルを乗せる

上図のようにプルダウンメニューの"表示(V) -> カラーマネジメント(C)"にマウスカーソルを乗せます。

4. Color-Manage this Viewがオンになっている
4. Color-Manage this Viewがオンになっている

上図のようにメニュー項目が展開され "Color-Manage this View" がオンになっていることが確認できます。 これは、この画像がカラーマネジメント(色管理)されていることを表しています。

  
カラーマネジメントの設定は、画像ごとに個別に管理されています。 画像Aのカラーマネジメントの設定を変更しても、画像Bのカラーマネジメントの設定には何の影響もありません。

プルダウンメニューの"表示(V) -> カラーマネジメント(C)"にマウスカーソルを乗せたまま、もう少しメニュー項目を見てみましょう。

5. 表示(V) -> カラーマネジメント(C)のメニュー項目
5. 表示(V) -> カラーマネジメント(C)のメニュー項目

上図のように "Color-Manage this View" 以外にも "Proof Colors" や "黒点の補正(B)" といった項目があります。 これらの項目に見覚えはないでしょうか。 そうです、GIMPの設定ウィンドウのカラーマネジメントで設定できる項目です。

新規に画像を作成したり、画像をインポートすると、GIMPの設定ウィンドウのカラーマネジメントの設定値が画像の設定値として複製されます。 複製された設定値が上図のメニュー項目に表示されています。

  
各画像のカラーマネジメントの設定値を変更しても、GIMPの設定ウィンドウのカラーマネジメントの設定値には影響しません。 GIMPの設定ウィンドウのカラーマネジメントの設定値が各画像に複製されるだけの一方通行です。

では、確認のためGIMPの設定ウィンドウを見てみましょう。

6. GIMPの設定ウィンドウ
6. GIMPの設定ウィンドウ

上図のようにGIMPの設定ウィンドウのカラーマネジメントの設定内容が各画像に複製されていたことが確認できました。

  
GIMPの設定ウィンドウのカラーマネジメントの設定値を変更すると、開いている画像のカラーマネジメントの設定値も変更されます。

ここで、GIMPの設定ウィンドウのカラーマネジメントの設定値を各画像に適用する手順を紹介しておきます。

7. As in Preferences
7. As in Preferences

上図のように "As in Preferences" というメニュー項目があります。 このメニュー項目を実行すると、GIMPの設定ウィンドウのカラーマネジメントの設定値が現在の画像に複製されます。

次に、カラーマネジメントを一時的に無効にする方法を説明します。 つまり、モニタに合わせた色の調整を一時的に無効にします

8. カラーマネジメントを無効に
8. カラーマネジメントを無効に

上図のように "Color-Manage this View" にはチェックボックスがあります。 このチェックボックスのチェックを外すと、カラーマネジメントが一時的に無効になります

  
ここでは "Color-Manage this View" のチェックは外さずに次へ進んでください。

では、説明を進めます。 続いては、ソフトプルーフの機能について説明します

ソフトプルーフとは、色の校正をモニタ上で行うことです。 なお、色の校正とは印刷の発色を確認する作業のことで、従来は実際の印刷物を仮刷りしていました。

しかし、最近ではカラーマネジメントが当たり前になり、カラープロファイルが付属している製品が増えてきました。 そのおかげで、モニタ上で印刷結果を再現できるようになったのです。 もちろん、完全に印刷を再現できるわけではないですが、目安としては十分に使える機能です。

  
ソフトプルーフは、印刷を考えるならとても重要な機能です。 印刷所に入稿せずに家庭のプリンタで印刷する場合にも、ソフトプルーフは活用したい機能です。

では、ソフトプルーフの機能を使って色の校正を行ってみましょう。 今回の例では、印刷所に入稿してコート紙へ印刷することを想定しています。 つまり、カラープロファイルはJapan Color 2011 Coatedを使います。

まずは、ソフトプルーフを有効にします。

9. 表示(V) -> カラーマネジメント(C) -> Proof Colorsを実行
9. 表示(V) -> カラーマネジメント(C) -> Proof Colorsを実行

上図のようにプルダウンメニューの"表示(V) -> カラーマネジメント(C) -> Proof Colors"を実行します。

10. 何の変化もない
10. 何の変化もない

上図のようにソフトプルーフを有効にしましたが、画像には何の変化もありません。 何も起こらないのは、ソフトプルーフ用のカラープロファイルを指定していないからです

  
カラープロファイルを設定しなければソフトプルーフは機能しません。

では、Japan Color 2011 Coatedのカラープロファイルが使われるよう設定しましょう。

11. 表示(V) -> カラーマネジメント(C) -> Soft-Proofing Profile...を実行
11. 表示(V) -> カラーマネジメント(C) -> Soft-Proofing Profile...を実行

上図のようにプルダウンメニューの"表示(V) -> カラーマネジメント(C) -> Soft-Proofing Profile..."を実行します。

12. Soft-Proof Profileウィンドウ
12. Soft-Proof Profileウィンドウ

上図のようにSoft-Proof Profileウィンドウが表示されますので、"New Color Profile" に "Japan Color 2011 Coated" を選択し、[選択(S)]ボタンを押します。

13. Japan Color 2011 Coatedでの色の校正中の画像
13. Japan Color 2011 Coatedでの色の校正中の画像

上図のようにキャンバスの画像の色がくすみました。 ソフトプルーフによって、印刷所でコート紙に印刷した結果が再現されたためです

変化がわかりにくければ、以下の手順でソフトプルーフの有効/無効を切り替えてみればいいでしょう。

14. ソフトプルーフを無効に
14. ソフトプルーフを無効に

上図のようにソフトプルーフの先頭にもチェックボックスがあります。 このチェックボックスのチェックを外したりつけたりしてキャンバスの変化を見てみましょう。

以下にソフトプルーフがオフの状態とオンの状態を比較した画像を掲載します。 2つの画像を左右に並べたもので、左半分がソフトプルーフがオフの状態で右半分がソフトプルーフがオンの状態です。

15. ソフトプルーフがオフとオンの場合の違い
15. ソフトプルーフがオフとオンの場合の違い

上図のように左右で色が違うことがわかります。 右半分がくすんでいます。 実際に入稿して印刷すると、右側のような発色になるということです。

以上が、カラープロファイルを使ったカラーマネジメントについての説明です。

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入稿データを出力するには

前の記事でも説明しましたが、GIMPはCMYK形式のカラーモードには対応していません。 よって、そのままではCMYK形式でデータを出力することはできず、RGB形式で出力することになります。

せっかく、GIMP 2.4でカラーマネジメントの機能が強化されモニタ上での色の校正(ソフトプルーフ)ができるようになったのに、標準では肝心のCMYK形式での出力ができないのです。 CMYK形式での出力の機能さえあれば、GIMPだけでCMYK形式を扱えるのに、です。

RGB形式で入稿できるなら、それでも問題はありません。 印刷所でCMYK形式に変換して印刷してくれます。 もちろん、入稿前にソフトプルーフで色の校正を済ませていることが前提です

  
ソフトプルーフに使用するカラープロファイルは、印刷方法と合わせる必要があります。 コート紙に印刷するなら "Japan Color 2011 Coated" 上質紙に印刷するなら "Japan Color 2011 Uncoated" という具合です。
  
入稿する画像ファイルにはカラープロファイルは埋め込まないのが一般的です。 ただし、印刷所から指定された場合はカラープロファイルを埋め込みます。

RGB形式では入稿できない場合、つまり、CMYK形式で入稿しなくてはならない場合が問題となります。 CMYK形式で入稿しなければならない場合の対策は、以下のように、

  1. 出力後に別のソフトウェアを使ってRGB形式からCMYK形式に変換する
  2. Separate+プラグインを使う

の2通りがあります。 では、それぞれの方法について説明します。

その1 出力後に別のソフトウェアを使ってRGB形式からCMYK形式に変換する

GIMPで出力した画像ファイルを、別のソフトウェアを使ってRGB形式からCMYK形式に変換するという方法もあります。

GIMPでRGB形式のTIFFファイルやJPEGファイルに出力した後に、それらの変換ソフトウェアを使って変換してしまいましょう。

  
CMYK変換ソフトウェアは、変換後のカラープロファイルを指定できるものを利用してください。 変換後のカラープロファイルは、印刷方法と合わせる必要があります。 コート紙に印刷するなら "Japan Color 2011 Coated" 上質紙に印刷するなら "Japan Color 2011 Uncoated" という具合です。
  
GIMP側では、カラープロファイルについては何も考慮する必要はありません。 対象の画像のカラープロファイルがGIMP built-in sRGBなら、GIMPが出力する画像にカラープロファイルは埋め込まれません。 それ以外のカラープロファイルなら、GIMPが出力する画像ファイルにカラープロファイルが埋め込まれます。
  
CMYK変換ソフトウェアは、カラープロファイルが埋め込まれていない画像はsRGBであるという前提で処理します。 そのため、カラープロファイルが埋め込まれていても・いなくても正常に処理してくれます。
  
CMYK変換ソフトウェアが出力する変換後のファイルには、カラープロファイルは埋め込まないでください。 ただし、印刷所から指定された場合はカラープロファイルを埋め込む必要があります。

Windowsの場合

Windowsでの作業なら、CMYK変換ソフトウェアはColonがおすすめです。 操作が簡単で、変換後のカラープロファイルも指定できます。

GIMPで出力したTIFFファイルやJPEGファイルを、Colonを使ってCMYK形式に変換しましょう。

Linux系の場合

Linux系OSでの作業なら、ImageMagick(イメージマジック)に含まれているconvertコマンドで簡単にCMYK変換することができます。

グラフィカルログインした状態で仮想端末を開く、またはコンソールからログインし、


convert -profile icc: <入力カラープロファイル> -colorspace rgb <入力ファイル> -profile icc: <出力カラープロファイル> -colorspace cmyk <出力ファイル>

と実行することで変換できます。

例えば、コート紙に印刷するため "Japan Color 2011 Coated" のカラープロファイルで出力するなら、

convert -profile icc:sRGB2014.icc -colorspace rgb in.jpg -profile icc:JapanColor2011Coated.icc -colorspace cmyk out.jpg

のように実行します。

その2 Separate+プラグインを使う

GIMP内部ではCMYK形式でデータを扱うことはできませんが、Separate+プラグインをGIMPに追加することでCMYK形式で画像ファイルを出力できるようになります

なお、Separate+プラグインはCMYK変換だけでなく、ソフトプルーフ(色の校正)の機能も持っています。 また、Separate+プラグインはGIMPに登録されているカラープロファイルは参照せず、システムに登録されているカラープロファイルを参照します

つまり、GIMP 2.4で強化されたカラーマネジメントの機能に頼ることなく、

  1. ソフトプルーフでの色の校正
  2. CMYK形式での出力

が行えるのです。

GIMPをインストールした直後の初期設定の状態に、Separate+プラグインを追加するだけでいいのです

  
システムにCMYKカラープロファイルを登録しておく必要はもちろんあります。

そんな夢の様なプラグインですが、残念ながらおすすめできません

理由は、Separate+プラグインが使いづらいためです。 Separate+プラグインは、本当ならGIMPでは扱えないはずのCMYK形式でデータを扱います。 そのため、使用手順が面倒なのです。

Separate+プラグインでは、複数レイヤの画像をCMYK変換することはできません。 よって、まずは、元画像(A)から複製して全レイヤを統合した、レイヤ統合画像(B)を作る必要があるのです。

  
元画像(A)のままで全レイヤを統合すると、誤って保存してしまった時にレイヤ情報が失われてしまいます。 そのため、レイヤ統合画像(B)に複製してから統合するのが一般的です。

次に、レイヤ統合画像(B)を色分解します。 これが、いわゆる『CMYK変換』のことなのですが、色分解は現在の画像に対してではなく、現在の画像から複製した画像に対して行われます。 つまり、レイヤ統合画像(B)を色分解した瞬間に、色分解画像(C)が作られるのです

続いて、色分解画像(C)を使って色の校正を行いますが、困ったことに、ここでも複製されるのです。 色の校正を実行した瞬間に、色分解画像(C)から色の校正画像(D)が作られるのです

この『色の校正画像(D)』で色を確認するわけですが、色が思っていた通りではなかったらどうするでしょうか。 なんと、元画像(A)を修正しなければならないのです

当然、修正後には、レイヤ統合、色分解、色校正の三連発です。 修正するごとに、レイヤ統合画像(B)、色分解画像(C)、色の校正画像(D)が増えていくんです、やってられません。

一方、この記事で紹介したカラーマネジメントの機能を使ったソフトプルーフなら、リアルタイムで色の校正が行えるのです。 キャンバス上で印刷結果を再現しながら、レベル調整やトーンカーブ調整さえも行えるのです

比べると、リアルタイムで色の校正が行えないSeparate+はやはり使いにくいです。

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まとめ

カラープロファイルを使ってカラーマネジメントすることで画面上で印刷結果を再現することができます。

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