トップ > 知っておきたい機能 > 色の調整 >
トーンカーブ補正

  

トーンカーブでより本格的な補正

色の調整の機能としてとても重要な『トーンカーブ』を紹介します。 前の記事で説明した『レベル』と同じく本格的な補正を行える機能です。 この『トーンカーブ』の機能なしで写真を補正することは考えられません。

 

トーンカーブを使えば、

  1. 明るさが 75% 以上の部分だけコントラストを高くしたい

という補正も実現できます。

『トーンカーブ』は、『レベル』と同じく細かい調整が可能な画像の補正ツールです。 ただし、『レベル』とは設定方法が異なっており、曲線を曲げて入力と出力の調整を行います

つまり、カーブの曲がり具合を制御することで補正を調整するツールです。

  
GIMPにしてもPhotoshopにしても日本語版では『トーンカーブ』と表記されていますが、英語版では『Curves』となっています。

トーンカーブもレベルもどちらも重要

『トーンカーブ』は、『レベル』と同じく上級者になっても利用できる機能です。 なお、トーンカーブとレベルは、どちらかだけ使い方を覚えればいいというものではありません

状況に応じてトーンカーブとレベルを使い分けたり、レベルで大まかに調整してからトーンカーブで微調整を行うというような使い方をすればよいでしょう。

  

トーンカーブ

『トーンカーブ』の機能を使った補正について説明します。 補正は、トーンカーブウィンドウで行います。 なお、トーンカーブウィンドウでは、明度、赤・緑・青成分の強度・不透明度を調整することができます。

では、実際に補正してみましょう。

1. 補正前の写真
1. 補正前の写真

上図のように補正する写真を開きます。 見ての通り暗い上に発色が弱いためメリハリが弱い写真です。 なお、上部にある赤色のバーは補正の結果をわかりやすくするために描き加えたものです

続いて、トーンカーブウィンドウを開きます。

2. 色(C) -> トーンカーブ(C)...を実行
2. 色(C) -> トーンカーブ(C)...を実行

上図のようにプルダウンメニューの"色(C) -> トーンカーブ(C)..."を実行します。

3. トーンカーブウィンドウ
3. トーンカーブウィンドウ

上図のようにトーンカーブウィンドウが開きます。

ここで、画面上部のチャンネル(N)選択リストに注目してください。 この選択リストで、補正する対象を選ぶことができます

4. チャンネル(N)選択リスト
4. チャンネル(N)選択リスト

上図のようにレベルウィンドウと同じく明度・赤・緑・青・アルファの選択肢があります。

5. チャンネル(N)選択リストで明度を選択
5. チャンネル(N)選択リストで明度を選択

上図のようにチャンネル(N)選択リストは"明度"のままで次へ進んでください

では、各項目についてもう少し詳しく見てみましょう。

6. ヒストグラム
6. ヒストグラム

上図のように中心部に大きくヒストグラムが表示されています。

何度も説明したように、ヒストグラムは左側が最小値、右側が最大値を表しています。 現在は明度チャンネルを選択していますので、左側が最小明度、右側が最大明度を表します。 また、ヒストグラムの高さは、その明度のピクセルの数を表しています。 今回の画像では、明るさが40%前後のピクセルが多いことがわかります。

次に、ヒストグラムの下側と左側にあるバーを見てみましょう。

7. 入力と出力のバー
7. 入力と出力のバー

上図のようにヒストグラムの下側と左側にバーがあります。 このバーは強度を表しています。 現在は明度チャンネルを選択していますので、強度とは明度のことです。 なお、下側のバーは入力で、左側のバーが出力を表しています。

続いて、肝心のカーブを見てみます。

8. カーブ
8. カーブ

上図のようにヒストグラムの左下から右上への対角線上に描かれているのがカーブです。 カーブと言いながらも曲がっていませんが、初期状態ではこのように真っ直ぐになります。

画像を補正するために唯一操作するのが、このカーブです。 カーブの曲がり具合を調整して画像を補正します。 具体的には、線を曲げて入力と出力の関係をずらすことで補正します

文章では説明しにくいので図で説明します。 まずは、補正元では50%の明るさだったピクセルが、補正後にはどのような明るさで出力されるのかを説明します。

9. 入力と出力の対応
9. 入力と出力の対応

上図のように入力側のバーの50%の明るさの位置から真上に進み、カーブにぶつかったら左に進みます。 進んだ先は出力側のバーの50%の明るさの位置となります。

これは、50%の明るさで入力されたピクセルは、同じ50%の明るさのままで出力されるということを意味しています。 つまり、何の補正も行われないということです

なお、10%の明るさの場所も、75%の明るさの場所も、その他の明るさの場所も入力と出力は同じ位置に対応しています。 つまり、どの明るさのピクセルも補正されないということです。 このように、カーブの初期の形状である左下から右上への対角線に沿った形状では画像には何の補正も行われません

次に、実際にカーブを曲げてみましょう。

10. カーブを上に引っ張る
10. カーブを上に引っ張る

上図のようにカーブの中心あたりを、上に向かってマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でドラッグします。 赤色の矢印はドラッグの動きを表しています。

カーブを曲げたことで、キャンバス上では画像が補正されているはずです。 なお、まだ[OK(O)]ボタンは押さないでください。

11. 補正中の画像
11. 補正中の画像

上図のように画像が明るくなります。 これは、カーブを上に曲げたため、全てのピクセルが入力より明るくなるように出力されたためです。

ここで、再びカーブに注目してみましょう。

12. 入力と出力の対応
12. 入力と出力の対応

上図のように入力側のバーの50%の明るさの位置は出力の75%の位置に対応しています。 また、他の明るさも出力の方が明るくなっていることがわかります。

このように、カーブを上に引っ張ると全体が明るくなります。

  
トーンカーブを上に引っ張ると明るくなると覚えましょう。
  
逆に、トーンカーブを下に引っ張ると暗くなります。

カーブに関して、他にも注目すべき点があります。 マウスで引っ張った箇所に制御点ができています

13. 制御点
13. 制御点

上図のようにマウスで引っ張った場所に白色の点ができていますが、これが『制御点』です。

制御点はマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)のドラッグで移動することができます。 位置を変えたければ、マウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でドラッグしましょう。

また、制御点はキーボードのカーソルキー(↑↓←→)で微調整することもできます。 マウスで大きく動かし、キーボードで微調整しましょう。

では、続けてコントラストを高くします。 コントラストは暗い部分と明るい部分の差ですから、暗い部分が元の画像よりも暗くなるように補正しましょう。

14. カーブの左側を下に引っ張る
14. カーブの左側を下に引っ張る

上図のようにカーブの左から4分の1あたりを、下に向かってマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でドラッグします。 赤色の矢印はドラッグの動きを表しています。

では、まだ[OK(O)]ボタンは押さずに画像の変化を確認してみましょう。

15. 補正中の画像
15. 補正中の画像

上図のようにコントラストが高くなります。 カーブの左側を下に曲げたことで、補正前の画像の暗いピクセルがより暗くなったためです。

  
このようにS字カーブにすることでコントラストを高くすることができます。
  
正確には、カーブが垂直に近い部分のコントラストが高くなります。

また、制御点が増えている点にも注目してください

16. 増えた制御点
16. 増えた制御点

上図のようにマウスで引っ張った場所に新たに制御点が増えています。 また、前回の制御点が中抜きで表示されています

制御点には中が塗りつぶされているものと、中抜きのものがあります。 中が塗りつぶされているのが選択中の制御点です。 キーボードのカーソルキー(↑↓←→)で移動できるのは、この選択中の制御点です。

このように、新しく追加された制御点は自動的に選択状態になります。 なお、制御点はマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)のクリックで選択することができます。

  
キーボードのDELETEキーを押すことで、選択中の制御点を削除することができます。

続いて、逆S字カーブについて説明します。 現在、カーブはS字になっていますが、制御点を移動して逆S字に変更しましょう。

17. カーブを逆S字にする
17. カーブを逆S字にする

上図のようにカーブが逆S字になるように変更します。 2つの制御点を移動してこのような形にしてください。

18. 補正中の画像
18. 補正中の画像

上図のようにコントラストが低くなります。 補正元の画像で暗かった部分が明るく、明るかった部分が暗くなるためこのような結果になります。

  
このように逆S字カーブにすることでコントラストを低くすることができます。
  
正確には、カーブが水平に近い部分のコントラストが低くなります。

最後に、トーンカーブの逆転について説明しておきます。 トーンカーブは、初期状態では左下から右上への対角線上にあります。 つまり、両端は左下と右上にあります。 これを、左上から右下へのカーブにすることで『色調を逆転』させることができるのです。

まずは、カーブを初期状態に戻します。

19. カーブのリセット
19. カーブのリセット

上図のように[リセット(R)]ボタンを押してカーブを初期状態に戻します。

続いてカーブの両端に注目してください。 両端には制御点があり、実は移動させることができるのです

では、両端の制御点を移動します。

20. 左上から右下への逆転カーブ
20. 左上から右下への逆転カーブ

上図のように両端の制御点を移動して左上から右下へのカーブにします。 さらに、[OK(O)]ボタンを押して確定してください

21. 補正後の画像
21. 補正後の画像

上図のように色が逆転し、写真のネガフィルムのようになります。 上部に描き加えた赤色のバーが、水色のバーになってしまいました

明度が逆転しなかった理由

トーンカーブを逆転させた結果、まるで写真のネガフィルムのように反転しました。 つまり、階調反転したのです。

しかし、チャンネル(N)選択リストは明度チャンネルを選択していました。 なぜ、明度チャンネルを選択していたにも関わらず、明度が反転しなかったのでしょうか。

ちなみに、もし明度が反転していたのなら、以下のような結果になるはずです。

22. 明度を反転させた画像
22. 明度を反転させた画像

上図のように赤色のバーは赤色のままで、暗い部分が明るく、明るい部分が暗くなります。 これが、明度反転です。

普通に考えれば、明度チャンネルを選択して逆転させたのなら、明度が反転するはずです。 赤色を維持したまま、暗い部分が明るく、明るい部分が暗くなるべきです。 しかし、実際にはネガフィルムのように反転しました。

ネガフィルムのように反転した理由は、赤チャンネル・緑チャンネル・青チャンネルがそれぞれ個別に反転されたためです。 以下は、赤色の赤・緑・青成分の強度です。

赤成分の強度 緑成分の強度 青成分の強度
100% 0% 0%

上記のように赤成分が最大で、緑・青成分はゼロです。 これを反転させると以下のようになります。

赤成分の強度 緑成分の強度 青成分の強度
0% 100% 100%

上記のように赤成分がゼロで、緑・青成分が最大になります。 つまり、水色になるのです。 このように、赤・緑・青成分がそれぞれ個別に反転すると、赤色は水色になります。

つまり、明度チャンネルは、赤チャンネル・緑チャンネル・青チャンネルをまとめた呼び名なのだろうということです。 別の記事で説明したように、明度チャンネルを選択していると、赤チャンネル・緑チャンネル・青チャンネルが同時に選択されたのと同じ状態になるとしか考えられません。

  

まとめ

トーンカーブは曲線で補正を調整する機能です。 カーブを上に曲げると明るくなり、下に曲げると暗くなります。

また、カーブをS字にするとコントラストが高くなり、逆S字にするとコントラストが低くなります。

 
メニュー